カルバペネム耐性腸内細菌科細菌CREは、「悪夢の耐性菌」
と呼ばれて危機感を強めています。
感染した人が日本で約1400人いると報告されています。
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌CREの感染経路日本でも流行するのか?
今回は、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌CREについて詳しくご紹介します。
目次
cre多剤耐性菌ってどんな菌?
カルバペネムは抗生物質で耐性菌への最後の切り札といわれていました。
カルバペネム系の抗生物質に対して、耐性を持って腸内細菌科の細菌のことで、この細菌に感染して病気になるということです。
耐性をもつってどういうこと?
薬を飲んでいて、薬の効果が弱くなって効かなくなる事を言います。
CREは増殖していくだけでなく、抗生物質を分解する遺伝子を仲間の細菌に次々と耐性情報を渡しCREに変えていく特別な力を持っています。
このために大きく広がり、欧米では5年ほど前から急増しています。
体力が低下した手術後の患者や、がんの患者などに死亡者が増えています。
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌とは、広域抗菌薬の代表といえるカルバペネム系抗菌薬に耐性を持つ腸内細菌科細菌の事です。
あらゆる菌に対して耐性を持っているので、「スーパー耐性菌」と呼ばれています。
多剤耐性菌が発生の原因はなに?
多剤耐性菌とは
多剤耐性菌とは、多くの抗菌薬や抗生剤がきかなくなった細菌のことです。
一般的には、健康な人のからだの中に入ったり、皮膚や粘膜の表面についたりするだけで、病気に感染するわけではありません。
多剤耐性菌が海外から入ってくる事もあるの?
海外の医療施設でみつかった耐性菌が、日本に持ち込まれることもあります。
多剤耐性菌が問題になっている地域に渡航し、体調不良を発症した場合は、早めに受診しましょう。
耐性菌はどうして出来るの?
中途半端に抗生物質を使うために細菌が強くなるのです。
適切に抗生物質を使用すれば 細菌は死滅します。
でも中途半端に使用すると細菌は死なないまま残り耐性を作ってしまいます。
症状が治ったと思い抗生物質を止めてしまう人がいます。
中途半端な使い方は細菌を強くしている事を知ってください。
中途半端な抗生物質の使い方を繰り返すと薬が効かない耐性菌が出来ます。
カルバペネム耐性腸内細菌の感染経路はどこから?
カルバペネムCREは院内感染が多い?
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症では、最も多いのは尿路感染症が28.4%、菌血症・敗血症や肺炎もそれぞれ19.9%、19.5%でした。
また、症状や検体、菌種が特定できた症例の解析では、血液からの菌検出例やクラブシエラ属の検出例で死亡が多い傾向が見られました。
国立感染症研究所が感染症法に基づいて報告されたCRE感染症の1300例を発表しました。
クラブシエラ属
クラブシエラ属は土壌や水中に生息するグラム陰性通性嫌気性桿菌で真正細菌の一属。
運動性はなく莢膜を有する。GC比は53から58で体温付近で最も増殖します。
カルバペネム耐性腸内科細菌のほとんどが肺炎桿菌や大腸菌ということで、これらの病原体に感染しやすい人はさらにリスクが高まります。
肺炎桿菌は、糖尿病や悪性疾患など免疫力が低下している人は注意が必要です。
大腸菌は尿路結石や前立腺肥大など腎尿路系異常のある人で尿路感染症や菌血症の原因菌となります。
腎臓や尿路系に異常がある人も注意が必要です。
また気管チューブやカテーテルという管が体内に入っている人も感染のリスクが高いです。
広範囲に効く抗生物質を使用した経験のある人も、重要なリスクファクターといえます。
リスクファクターとは?
ある特定の疾病に寄与する危険な要素のこと。
CREに感染したらわかるの?
体が健康な時だったら自分の腸内細菌がCREに変わっても、まず気づかないと言われているので安心です。
抗生物質が乱用されているインドに比べて、日本でのカルバペネム耐性腸内生菌科細菌が検出されることは珍しい事です。
でも、これから日本でもスーパー耐性菌が増えてくると予想されています。
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌は、
人の移動などで病院内に広がるので、医療機関の感染対策が最も大切になっています。
カルバペネム耐性腸内細菌個人で出来る対策方法はあるの?
個人で気をつけることは、抗生物質を適正に使用することです。
中途半端な抗生物質の使用は、耐性菌を増やすことになります。
海や川ではどんな菌が存在しているかわからないので注意してください。
また、衛生状態の悪い国では、どんな場所でも汚染されているかもしれません。、海外旅行の時には水や生ものは避けましょう。
消毒方法
食中毒を起こす菌、腸管出血性大腸菌(O-157)やサルモネラ菌の消毒と同じようにアルコール殺菌や、加熱消毒が効きます。
CRE耐性菌が大きな問題となっている理由
CREが高度な耐性を持っていて、治療が困難という事が理由ですが、CREの感染者の数が急に増えて、
世界的に広がっていることも問題です。
広がっているといってもCREの種類や増え方は国によって大きく違います。
その理由はそれぞれの国の医療事情や衛生環境などの影響があるからです。
NDM-1産生菌が広がっているインドでは、以前は抗菌薬がいつでも処方箋なしで購入することが出来ました。
誰でも簡単に抗菌薬を手に入れることができるため、大量の抗菌薬が不適切に使われていたと考えられます。
インドだけでなく、抗菌薬を薬局で自由に購入できるような国では明らかに耐性菌が広がりやすく、
さらに家畜に使う抗菌薬も耐性菌を生む原因と考えられています。
NDM-1産生菌ってなに?
NDM-1 は、基本的に腸内細菌で見られます。
インドに渡航したスウェーデン人が2008年にインドのニューデリーの病院に入院したときに初めて分離されました。
NDM-1遺伝子をもつ事で、カルバペネム系抗生物質を含むほぼすべてのβ-ラクタム系薬剤を分解する酵素を産生することができます。
カルバペネム系抗生物質は、強力な抗生物質で多剤耐性菌に対する最後の治療薬と考えられています。
終わりに
健康な日常生活を送っている人は、CREの感染を心配する必要はないです。
海外で医療行為を受けた場合や、海外旅行から帰った後、体調不良で医療機関を受診した場合は、海外に出かけていたことを、医師に伝えてください。