高齢者による交通事故が増加しています。
やっぱり原因は認知症?
認知症の検査はいつから?
免許書の更新にどんな検査があるの?
危なくなってきたので運転をやめてほしいと願う家族の心配もあります。
今回は高齢者の運転免許更新時の講習内容と認知症についてご紹介します。
目次
認知症の高齢者が運転 交通事故が増加
交通事故は、年々減少傾向にありますが、65歳以上の運転者の死亡事故の件数は年々増加しています。
高齢者の死亡事故は、自動車の運転者としても歩行者としても増え続けているのです。
認知症とは
人は誰でも年齢とともに、もの覚えがわるくなったり、人の名前が思い出せなくなったりします。
こうした「もの忘れ」は脳の老化によるものです。
しかし、認知症は「老化によるもの忘れ」とは違います。
認知症は、何かの病気によって脳の神経細胞が壊れるために、起こる症状や状態をいいます。
そして認知症が進むと、だんだんと理解する力や判断する力がなくなって、社会生活や日常生活に支障が出てくるようになります。
認知症の人が運転して事故
問題は、老化だけではありません。
認知症の場合は更に運転に注意が必要です。
人は誰でも年を取ると運動神経や反射神経が衰えてきます。
認知症の人は、老化だけではなく車を運転しているときに、運転操作を思い出せなくなったり、交通標識が認識できなくなるといった
事態が起こるかもしれないのです。
認知症の人が運転をする事をやめず、事故を起こしてしまい加害者になった時責任は、家族に降りかかります。
事故を未然に防ぐ為にも、認知症の疑いがある場合は早めに認知症の専門機関で受診しましょう。
高齢者が交通事故に気をつける認知症のタイプ
認知症のタイプによって交通事故の特徴があります。
認知症の中でも、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症、前頭側頭型認知症の人が起こす事故の特徴は違います。
アルツハイマー型認知症
記憶障害や見当識障害から起こす事故が多い運転中に、行先を忘れてします。
遠出しても帰れなくなります。
高速道路を逆走することがあります。
ブレーキとアクセルを踏み間違えるという危険性があります。
脳血管性認知症
運動障害や、記憶障害から起こす事故が多い手足の麻痺により、ブレーキやハンドル操作が遅くなります。
まだらボケにより道路の逆走や、ブレーキとアクセルを踏み間違える事があります。
前頭側頭型認知症(ピック病)
反社会的な行動を起こし逸脱行為から起こす事故が多い気性が荒くなります。
信号無視などの交通ルールを守れません。
車間距離を詰めるなどの理性的な行動がとれなくなり危険です。
認知症かも?運転をやめてくれない場合の家族の気持ち
道路交通法では、自動車運転の年齢制限は設けられておりません。
でも、「もう、そろそろ年だから運転は止めてもらいたい・・・」と思うのが家族です・・・。
改正道路交通法でも、75歳以下の認知機能検査にかからない、高齢者や認知症の方は運転をする事が出来ます。
その様な高齢者や認知症の人に、運転を止めてもらう良い方法はあるのでしょうか?
認知症の人の多くは頑固なので、免許証や車を取り上げるのは大変です。
したがって、運転を止めてもらうために上手に説得することが大切です。
本人の性格や反応をみる必要があります。
誰でも、自分の衰えを指摘されると怒ったり意地をはったりするものです。
「ボケてきたから運転を止めて!」
などの強い態度だと相手を怒らせてしまいます。
相談なく車を売ってしまったり、免許や車のカギを隠してしまったりすることは、逆効果になります。
相手を傷つけることなく、なるべく免許は取り上げてしまわずに、自主返納してもらいたいですね。
高齢者が運転をやめるべき時
次のような運転が目立ってきたら運転の止め時です。
- 急ブレーキが多くなる
- センターラインを踏み越える
- カーブをスムーズに曲がり切れない
- 車間距離がキープできない
- 車庫入れに失敗する
- 信号無視や道路標識の見落としが増える
本人は気づきにくいので、家族がしっかりと免許を返納するよう説得しましょう。
認知症の疑いがあるのに運転免許更新できるの?
2009年の道路交通法の改正ともに、70歳以上の運転免許更新の方式が変更されました。
更新期間が満了する日における年齢が70歳以上の人が、免許更新をする場合、更新時講習の代わりに高齢者講習を受講するようになりました。
更に、75歳以上の人は、認知症の検査である「講習予備検査(認知機能検査)」を受け、その結果で高齢者講習を受講するようになります。
運転免許更新 高齢者講習と講習予備検査について
講習予備検査(認知機能検査)の内容
認知機能検査は、主に記憶や見当識の認知機能を確認する検査です。
見当識の意味は?どんな検査?
認知症を患った場合によく見られる初期症状の一つに、見当識障害があります。
見当識とは、自分が置かれている状況を認識する能力です。
見当識に障害が起きると・・・
今日は何月何日?
今、何時?
今自分はどこにいるの?
誰と話をしているの?
などが正確に認識出来なくなります。
見当識が正常であるかは簡単な問診で把握することができます。
講習予備検査の問題点
この講習予備検査(認知機能検査)には、いくつかの問題があります。
例えばテストをして「記憶力や判断力が低下」が見られても信号無視や一時不停止などの違反がない限り、免許が更新できるのです。
もうひとつは75歳の免許更新の時からという遅さや、現状の検査内容が記憶障害や、見当識障害をテストするものであり、アルツハイマー型認知症以外の前頭側頭型認知症などの、認知症を見抜けるのかという問題があります。
これまでの道路交通法では、認知症やMCI(軽度認知障害)であっても違反が無い限り、運転免許を更新することが出来ました。
しかし、高齢者の交通事故が大きな社会問題として大きくなってきたので、2015年6月11日に改正道路交通法が成立し2017年までに完全施行される予定です。
改正道路交通法 認知症についての内容
75歳以上のドライバーに、3年ごとの免許更新の時に、講習予備検査(認知機能検査)を実施します。
交通違反の有無に関わらず「認知症の疑いあり」と判断された人全員に医師の診断義務が発生します。
認知症の疑いがあるまたは、認知症を発症している場合は、免許を停止することが出来るようになります。
終わりに
最近ニュースで取り上げられている「自動運転システム」
を搭載した車の開発・実用化が世界中で進められています。
これなら高齢者でも安全で安心!
「自動運転システム」で交通事故のない未来がきますように・・・。