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抗生物質が耐性菌の原因?!esbl産生大腸菌の赤ちゃんへの危険性

2016年5月16日

抗生物質が耐性菌の原因?!esbl産生大腸菌の赤ちゃんへの危険性

「esbl産生大腸菌で新生児が死亡」
こんなニュースを聞いてその中に「耐性菌」というワードも出ていたりします。

そこで
今回は「耐性菌」とか「esbl産生大腸菌」どんなことなのか?赤ちゃんや子どもへの影響などをご紹介します。

抗生物質が耐性菌をつくる原因

抗生物質が臨床で使われるようになってから、感染症の治療は大きく変わり、なくてはならない薬となりました。

さらに医療だけではなく、畜産や水産などの分野でも健康管理や生産効率をあげる目的で使用されていて
世界中で大量の抗生物質が使われています。
こうして抗生物質が大量に使われるようになったため、次々と新しい耐性菌が出現するようになりました。

耐性菌と多剤耐性菌てどんな菌?

ゴキブリを例にたとえると、ゴキブリはホウ酸団子やゴキジェットで退治しますが、ホウ酸団子ばっかりで対処している家だと
そのうちゴキブリの世代交代中に突然変異が起きて、ホウ酸団子を食べても平気なゴキブリができます。
そのゴキブリはホウ酸団子を使っても死なないので家の中で、繁殖し今まで効果があったホウ酸団子がまったく効かなくなります。

そうするとゴキブリ退治にホウ酸団子は使えなくなるわけです。

ゴキブリを細菌、ホウ酸団子を抗生物質に置き換えると、体内で全く同じ説明になります。

その後、ゴキジェットを使うようになって今度は同じようにゴキジェットに
耐性をもつゴキブリが生まれます。
そうなると大変です。
元々ホウ酸団子の耐性に加え、更にゴキジェットが効かなくなるので、ものすごくしぶといゴキブリが誕生します。
そうなると自力で退治するしかありません・・・。

これと同じような考えで複数の薬剤に耐性を持つようになる・・・
これが多剤耐性菌です。

対策はあるの?

ゴキブリにホウ酸団子とゴキジェットを両方使う事です。
世代交代で生じる突然変異といってもいきなり2つ以上の抗生剤に対する耐性を持つ割合は低くなります。
仮にホウ酸団子に耐性が出ても、ゴキジェットで死ぬ、その逆もあるという事です。

抗生物質の発見により長い間人類を苦しめてきた結核 ペスト チフス 赤痢 コレラなどの伝染病は征服され
人間の平均寿命は大幅に伸びました。

まさに「抗生物質」は 人類の健康増進に大きな貢献をしたのです。

しかし、現代の医療界では抗生物質の乱用によってさまざまな問題が生じています。

国際的に耐性菌の増加は非常に重要な問題とされていて
耐性菌がこのまま増加し続ければ20世紀の最大の発明の一つ
「抗生物質」の効果が失われてしまうのではないかと懸念されています。

esbl産生大腸菌の赤ちゃんへの危険性

esbl産生大腸菌とは
1980年代にヨーロッパで発見されています。
比較的新しいタイプの抗生剤への耐性菌です。

ESBL産生菌は抗生剤発見前には存在しなかった菌です。
抗生剤とくに第3世代セファロスポリン系薬剤が使用されるようになってから、細菌が生き残るために性質を変えた菌のようです。

ESBLを産生する菌は、肺炎桿菌や大腸菌といわれていて院内感染や、集中治療室など病院の院内感染での注意が必要と言われていましたが、今は入院施設のある病院小児科に、広まりつつあるようです。

esbl産生大腸菌で赤ちゃんや病気の子どもが敗血症

ESBL産生大腸菌は抗生物質を壊す酵素を作り出す「多剤耐性菌」です。
医療現場で使われている複数の抗生物質が効きません。
ESBL産生大腸菌は、抗生物質を破壊する酵素を作り出す細菌です。

健康な人が感染しても通常、病気になることはありませんが、早産で生まれた赤ちゃんや病気の子どもが感染すると、血液中に細菌が入る敗血症などを引き起こして、最悪の場合死に至ることがあります。

また、生後まもない赤ちゃんなど、0歳児が全体の4割近くを占めていて、出産直後に高熱などの症状が出たり、母親からもこの細菌が検出されていることから、出産時に母親から感染した可能性が高いということです。

 

子供の風邪薬にでる抗生物質は必要?

抗生物質は「細菌性の感染症」を治療する薬で、ウイルス性の感染症には効果がありません。
もし抗生物質を服用した後、子供の風邪が治ったとしても、それは自然経過なのです。
一般的に風邪と言われる感染症の多くはウイルスによるものです。

細菌とウイルスの違い

ほとんどの感染症は細菌とウイルスによって起こります。

咳やのどの痛みなど、風邪の症状のほとんどはウイルスが原因で起こります。
細菌による感染症は抗生物質で治療できます。
ウイルスによる感染症、つまり風邪には抗生物質が効きません。

抗生物質が効かない細菌

抗生物質が効かない抗生物質耐性菌が増えてきています。
耐性細菌はより強い抗生物質で治療できますが、入院して点滴の治療が必要になることもあります。
それでも治療できない細菌ができています。
抗生物質をたくさん服用すればするほど、子供は抗生物質耐性菌に感染しやすくなってしまいます。

細菌はどうやって抗生物質耐性菌になるの?

私たちが抗生物質を服用すると抗生物質が効く細菌は死にますが、抗生物質耐性菌は生き残り増えていきます。
抗生物質を誤った使い方で繰り返し服用することが、
耐性菌が増える原因となります。

どんな時に抗生物質が必要なの?

ウイルス感染から細菌感染への変化

ウイルス感染症はときどき2次的な細菌感染症を引き起こします。
けれどウイルス感染症の時に予防的に抗生物質を投与しても意味はありません。

風邪がひどくならないように抗生物質を・・・は意味がないのです。

それどころか予防を目的とした抗生物質投与は
抗生物質耐性菌による感染症を引き起こすこともあります。
もし、状態が悪化したり、症状が長引いているときは
かかりつけの先生に相談してください。

子どもには抗生物質を与えない方が良い?

抗生物質はとても有益で重要な薬品ですが、
細菌感染に対してのみ使われるべきなのです。
もし抗生物質が必要と判断されて処方されたら、
その時は指示された期間をしっかり守って服用してください。

子供を抗生物質耐性の細菌感染から守りたい

細菌感染とウイルス感染は違うという事です。
そして病院の先生にはどちらの感染症なのか確認しましょう。

風邪はウイルスによって起こり、抗生物質は必要ない
という事を覚えておくと安心ですね。

終わりに

ほとんどの抗生剤が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
を殺菌する効果のある新しい抗生物質を発見したと明るいニュースがありました。

研究チームは約2年7カ月かけ、各地で採取した土壌中にいる
約1万4000種類の細菌を調査しました。

沖縄県の土から見つかった細菌が、MRSAを殺す抗生物質を作り出すことを発見し、
ライソシンEと名付けました。

臨床で使われるにはまだ10年ほどかかると思いますが、本当に待ち遠しいですね。

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