ジカ熱とデング熱って蚊が感染源だけど何が違うのでしょうか?
特に妊婦さんが感染した場合の胎児への影響や、予防しようとして虫除けスプレーを安易に使っていいのか
そんな疑問に詳しくお答えしています。
目次
ジカ熱とデング熱の違いはなに?
ジカ熱ってどんな症状?
ジカウイルス感染者の約2割に症状がでると言われています。
全く症状が現れない人が約60%?80%の割合でいるのです。
デング熱と比べると症状は軽いですが、妊娠中に感染すると赤ちゃんに影響がでることがあります。
潜伏期間はまだはっきり分かっていませんが、感染してから発症するまでは数日から1週間以上のこともあります。
ジガ熱の症状は
微熱
頭痛
関節痛
発疹
目の充血
これらは数日で治まります。
また一度感染すると抗体ができて、ジカ熱には今後かからなくなると言われています。
ジカ熱には、ワクチンや特効薬がありません。
そのため、発症した場合は対症療法がとられています。
対症療法とは?
病気の原因に対してではなく、その時の症状を軽減するために行われる治療法の事
デング熱の症状
デングウイルスを病原体とする急性ウイルス性感染症で感染しても8割は無症状です。
それ以外も軽度の症状が多く合併症を伴わない発熱症状が現れるだけがほとんどです。
デング熱の症状は
発熱
頭痛
筋肉痛
関節の痛み
のどの痛み
咳
発疹
食欲不振
基本的に軽い症状です。
デング熱は突然高熱が出てから発症するので、風邪と区別がつきません。
デング熱と風邪を見分けるには「発疹」があるかどうかです。
はしかの症状に似た特徴的な皮膚発疹がでます。
デング熱の場合、風邪とは違い少しだけ発疹が発症するのではなく、顔や胸に出てき始め、手足などに広がっていきます。
ジカ熱とデング熱も熱が出ることから区別が難しいですが、症状を見分けるときは突然の高熱というところがポイントです。
ジカ熱は熱、デング熱は高熱です。
デング熱では解熱の時期に前後して皮疹が出現することが多いですが、ジカ熱では発熱期から皮疹が出現していることが多いようです。
デング熱は出血を伴うデング出血熱となって重症化する可能性もあります。
ジカ熱とデング熱の感染経路について
ジカ熱の感染
ジカ熱の感染経路はジカウイルスを持った蚊が人を吸血する時に感染します。
人から人への感染はありませんが、輸血や性行為による感染があります。
デング熱の感染
感染はデングウイルスを体内に持っている蚊に刺されることで感染します。
人から人への感染はありません。
ジカ熱 ブラジルでは?
80%が感染しても定形的な症状を訴えず、発熱しても高熱になることは少ないと言いますがでは、何がそんなに心配なのでしょうか?
それは、ポリネシア連邦やブラジルの流行の時に、ギラン・バレー症候群や神経症状を認める症例が報告されたということです。
ギラン・バレー症候群・・・急速に四肢を中心とする筋力が低下する、神経系の病気。
そして、ブラジルでは妊婦がジカウイルスに感染することで胎児が感染し、小頭症児が多発しているという報告があります。
ジカ熱にかかった妊婦の場合 胎児への影響はあるの?
ジカウイルス感染があぶない妊娠週数は?
ジカ熱感染は他の感染症と同じく妊娠初期の感染が胎児に影響を及ぼすと考えられていました。
しかし、 「New England Journal of Medicine」の報告で異常の見つかった13例の胎児の中で
8例の感染時の週数は20週以降、5例は25週以降でした。
つまり、胎盤が形成され胎児がちゃんと育っている妊娠中期以降に感染しても、奇形のリスクがあるということになります。
ジカ熱にかかったら? 妊婦さんは小頭症の心配はあるの?
ジカ熱は妊婦さんの症状が軽くても、胎児の発育に関連があると言われています。
ジカ熱自体が重症化することはほとんどありませんが、ジカ熱の流行地域で小頭症の赤ちゃんが増えています。
小頭症は生まれた赤ちゃんが発症する病気で、脳の発育に障害があるために脳が十分に大きくならない病気です。
具体的には脳の発達が遅れたり、停止したりします。
脳の発育が遅れることで、頭の大きさが同じ月齢の赤ちゃんと比べて小さくなります。
小頭症の赤ちゃんは「知的障害」を発症することが多く、中には慢性的な「けいれん発作」を起こす場合もあります。
また小頭症の患者には「興奮しやすい」特徴が見られ、これも脳の発育に障害があることが原因と言われています。
デング熱 日本での妊婦さんへの影響は?
あまり心配しなくても大丈夫です。
しかし、発熱や筋肉痛などの症状は妊婦さんには辛いものです。
蚊が媒介するため、蚊のいるところには近づかないようにしましょう。
もし行かなければいけない場合には、長袖長ズボンを履いてしっかりと虫刺され予防をしていきましょう。
また、公園や水辺など蚊が多い場所に行く場合には注意してください。
蚊に刺されたくない!予防の方法
素足でサンダル履きはさけましょう。
肌を露出しないようにしましょう。
白などの薄い色のシャツやズボンを選びましょう。
蚊は濃い色に近づく傾向があります。
妊娠中の場合、十分な注意をしておく方がいいですね。
妊婦さんは使えないの?虫除けスプレーの影響ってなに?
絶対蚊に刺されたくない!
そんな時は長袖長ズボンを着用して、首回りには虫除けスプレー・・・
と考えます。
妊婦さんも、そう思っている方が多いでしょう。
薬局で売っている虫除けスプレーには、「ディート」という薬品が入っています。
ディートは第二次世界大戦直後に、蚊を媒介にしたマラリア感染から兵士を守るためにアメリカ軍が開発しました。
一般的に安全と考えられていますが、使用方法を間違えて使うと神経障害や皮膚炎を起こす可能性があります。
蚊やダニを避けるにはとても良い薬品ですが、使い方には注意が必要なんです。
ディートによっておこる症状は神経症状では痙攣やねむけ、妄想、性格の変化や、皮膚症状では発赤や蕁麻疹などが報告されています。
このような事から、カナダやアメリカでは安全性の話し合いをしています。
乳幼児に昆虫忌避剤ディートがはいっている虫除けスプレーをつける事はできるだけ避けましょう。
虫除けスプレーは長期間効果のあるものを選びますが、昆虫忌避剤ディートには薬害の報告があるため、長期間つけない方が良いでしょう。
虫よけスプレーの必要がない場合はつけない、虫よけスプレーの必要がなくなったら洗い流す、1日に何度も塗り直さない
など、注意が必要です。
妊婦さんは虫除けスプレー ディート不使用なものを選びましょう!
ディート以外の虫除け効果のある成分は
最近発見されたイカリジンという化学成分やレモングラス、ペパーミントなどの各種虫除け効果のあるアロマオイルです。
市販の虫除けスプレーにもイカリジンやアロマオイルの成分が、虫除け有効成分として入っている商品が多く販売されています。
赤ちゃんや子供に有害のディート
最も虫除け効果の高い化学成分はディートですが、ディートは子供に大きな危険性がある、と考えられています。
カナダではディート入り虫除けスプレーに子供には使用しないでと記載されています。
赤ちゃんや子供の場合体重が大人よりも軽く、同じ量のディートを付けたとしてもディートの効果が多く出てしまいます。
赤ちゃんや子供は汗をよくかくため虫除けスプレーが流れてしまいます。
大人では流れてしまわないので1日1回程度で済む場合でも、子供は何度も塗り直す必要が出てきます。
このように子供や赤ちゃんにディート配合の虫除けスプレーを使うのはあまり勧められません。
また、はっきりと因果関係はつかめていませんが
妊娠中の女性がディート入り虫除けスプレーを使い続け、知能発達障害、運動障害などの障害をもって生まれたと報告があります。
ジカ熱が感染する可能性がある国
ブラジル、コロンビア、エルサルバドル、フランス領ギアナ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、マルティニーク、メキシコ、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、スリナム、ベネズエラ
日本の国立感染症研究所はできる限り
妊婦の流行地への渡航は控えたほうが良いと発表しています。
終わりに
現時点では、ジカ熱に対して効果のある特定のワクチンがありません。
ワクチンが開発されていないため、事前に予防接種を受けて感染を防ぐということもできません。
妊婦さんは、自分の体だけでなく、お腹の赤ちゃんへの影響も常に考える必要がありますね。
ジカ熱に関しても、必要以上に恐れることはありませんが、海外の症例から分かるように、
ジカウイルスが赤ちゃんに与える影響は大変大きいです。
妊娠期間を安全に乗り切ってください。